意外と知らない?育毛剤と発毛剤の違いと選び方
育毛剤と発毛剤、名前は似ていますが別の分類のアイテムだということをご存じですか?それぞれ配合される成分が違うので効果や副作用のリスクなどに違いがあります。
改善効果を実感したいなら、薄毛の進行度に合ったアイテムを使うことが大切です。違いを知ることで、自分には育毛剤と発毛剤のどちらが適しているのかわかるようになります。
育毛剤と発毛剤は分類が違う
一見しただけではわかりにくい育毛剤と発毛剤ですが、そもそも育毛剤と発毛剤では分類が違うのです。ヘアケア目的のアイテムには効果効能により医薬品、医薬部外品、化粧品に分けられます。
育毛剤と発毛剤は名前が似ていますがそれぞれ医薬品、医薬部外品に分けられます。分類が違うことで使われる成分や頭皮と毛髪への作用も異なります。
育毛剤と発毛剤、それぞれの分類と特徴から違いを紐解いていきましょう。
育毛剤とは?
医薬品、医薬部外品、化粧品いう3つの分類ごとに効果や副作用のリスクが異なります。このうち育毛剤は医薬部外品の分類です。
育毛剤は一般的に、頭皮に塗布するローションタイプの医薬部外品の商品を指します。育毛剤は「毛を育てる」という文字通り、育毛は髪や頭皮に栄養を与えて、今ある髪を育てるという役割を持っています。
育毛剤で髪を育てるということは、今ある髪を成長させるということであり、新しく毛を生やす「発毛」とは意味が異なります。
育毛剤の役割を理解するには、毛周期を意識することが大切です。髪には毛周期という髪の成長サイクルがあり、休止期、退行期、成長期の3つに分かれています。
薄毛やAGAを発症している場合、成長期が短くなるため、髪が充分に成長せず弱々しかったり細かったりします。そして、その弱々しい髪は抜けやすく、次に生えてくる髪も同じように健康に育ちにくい状態になりやすいのです
成長期が短い状態が続くと髪の休止期間が伸びて、髪が生えない状態の毛根が増えるようになります。育毛剤には成長期にある髪の健康を維持して抜けにくい状態に導く役割があるのです。
また、育毛剤には頭皮を清潔に保ち、髪が生えやすい環境に整える役割もあります。髪の状態が気になる時、頭皮が赤くなっていたりかゆくなったりすることはありませんか?薄毛の初期段階は、頭皮に症状が出ている事が多いです。
頭皮は髪を生やす土台なので、育毛するには頭皮環境を整えることが大切なのです。育毛剤には消炎効果や保湿効果が期待できる成分が配合されているため、荒れた頭皮を整えることができます。さらに、配合成分を栄養として頭皮から取り入れることで毛根を活性化させます。
育毛剤はゼロの状態から髪を生やすよりも、予防や進行を遅らせる作用が多いです。既に薄毛が進行しているなら、育毛剤を使ったセルフケアでは効果を実感しにくいかもしれません。
発毛剤とは?
発毛剤は3つの分類の中で最も効果・効能が期待できる医薬品の分類です。医薬品の中でも要指導医薬品、第一類医薬品、第二類医薬品、第三類医薬品に分けられます。
発毛剤というと頭皮に塗る外用薬のイメージが強いですが、内服薬もあります。発毛剤の内服薬は2005年に販売されてから、AGAクリニックを中心に普及してきました。
発毛剤は育毛とは違って新しく毛を生やす意味合いが強く、育毛剤よりも毛を生やす効果があると言われています。「発毛」とは、脱毛した状態の毛穴から新たに毛を生やす作用があるということです。
発毛剤には血行促進や男性ホルモン抑制などの効果によって、発毛を促す役割を持つ商品があります。ただ、薄毛対策効果の高い発毛剤でも使った翌日から髪がどんどん生えてくるということはありません。前髪が退行していたり、つむじの頭皮が見えてしまったりしているような状態は、髪の毛の生えている密度が低い状態です。
そんな状態から発毛剤は毛根に作用して髪を生やすことで密度が濃くなり、毛が豊かになったように見せることができます。そして、密度が高くなりそこから生える毛が増えることで、頭皮を覆う範囲が広がるのです。
発毛剤はこのような効果を出すことができるアイテムだと捉えて、継続して使用すると効果を実感しやすくなります。育てる毛が少なくなっているなら、育毛剤より根本から改善できて、新たな毛を生やす効果が期待できる発毛剤がおすすめです。
育毛剤と発毛剤の違いを徹底比較!
育毛剤と発毛剤は分類が違うことがわかりましたね。分類が違うため、薄毛の改善効果や副作用のリスク、購入方法なども異なります。育毛剤と発毛剤の違いを知ることで、どちらが自分に合っているかわかるようになります。
それでは、育毛剤と発毛剤の細かな違いを見てみましょう。
薄毛対策効果
AGAクリニックでは発毛剤が処方されることが多いです。なぜなら、医療機関では、薄毛の本格的な治療ができるので、効果の高い医薬品の発毛剤を扱う場合が多いのです。AGA治療を受けると発毛剤の中でも特に効果の高いフィナステリドやミノキシジルを配合した発毛剤が処方されます。
育毛剤は今ある毛髪の成長や頭皮環境改善のためのアイテムなので、発毛剤より効果はゆるやかです。そして、通販サイトで気軽に購入でき、使用者の体調や年齢の制限も少ないものが多いです。
育毛剤と発毛剤の効果については、商品との相性や使い方も関係します。
例えば、内服薬なら使用するタイミングを守ることで効果を実感しやすくなります。外用薬や育毛剤は一般的に、朝晩2回塗布することで効果が出る商品が多いです。使う際は、洗髪後やブラッシングして清潔な状態にした頭皮に塗布するようにして、塗布後に頭皮をマッサージするのも有効です。
育毛剤より発毛剤の方が効果は高いですが、薄毛の状態や副作用のリスクに合わせて使い分ける必要があります。
価格、購入方法
育毛剤と発毛剤は副作用のリスクの違いがあるために、購入方法が異なります。
販売されている場所としては、育毛剤と発毛剤はどちらもドラッグストア、病院、通販サイトと共通しています。
育毛剤の価格はドラッグストアで1,000円未満の商品もあれば、10,000円以上で販売されている商品もあり、品質やメーカーによって価格にばらつきがあります。育毛剤を販売する通販サイトでは、公式サイトから定期コースで安く購入できるサービスを実施しているメーカーが多いです。
また、メーカーによっては購入後の返金保証や他商品がおまけとしてついてくる特典があることもあります。
一方、医薬品の発毛剤は胃薬や頭痛薬などと同じ「薬」なので、購入方法に制限があります。発毛剤のうち、要指導医薬品と第一類医薬品は厚生労働省によって年齢確認や他の薬の服用の有無を確認する必要があります。
発毛剤の外用薬と内服薬は5,000~10,000円の価格帯の商品が多いです。AGAクリニックやドラッグストアで販売されていて、医師からの処方や薬剤師との対面販売によって購入できます。
発毛剤の入手はその他にも、価格を抑えるために、国内の輸入サイトを利用したり、海外から個人輸入したりする方法もあります。ただ、発毛剤を医師の説明がないまま使用すると、副作用で不調が現れた際に相談ができず、薄毛がさらに悪化するリスクがあります。
ただ安いからという理由だけで、体に対して強い作用を及ぼし、副作用のリスクもある発毛剤を安易に使用するのは危険です。発毛剤を購入する際は、安全のために医師や薬剤師の説明をしっかり聞いてから選ぶようにしましょう。
使用されている成分
育毛剤と発毛剤はどちらも厚生労働省が認可した成分を使用しています。一般的に薬用成分と呼ばれる有効成分を配合していることが医薬部外品、医薬品の分類の条件でもあるのです。つまり、育毛剤と発毛剤では使用されている成分が異なります。
育毛剤では、頭皮環境を整えたり血行を促進したりといった役割を持つ成分が配合されています。代表的なものには、センブリエキスやグリチルリチン酸ジカリウムやオウゴンエキス、ヒオウギエキスなど植物由来の成分などがあります。
発毛剤で使われる成分としては、フィナステリド、ミノキシジルがよく知られています。
フィナステリドは約30カ国で販売されているAGAの治療薬に配合されており、国内のAGAクリニックでも多く取り扱われています。
血行促進作用の強いミノキシジルは、日本国内で有名な発毛剤に使用されている成分です。発毛剤の他、クリニックではミノキシジルを頭皮に注射する治療もあり効果が高いことが知られています。
さらに毛根で成長司令を送っている毛乳頭細胞を活性化させる作用もあります。ミノキシジルを使うことによって毛乳頭細胞が毛母細胞に働きかけるうえ、毛乳頭細胞そのものを増やすことで発毛が促されるのです。
ミノキシジルには血管を拡張する薬理効果があるため、外用薬より内服薬のほうが効果を実感しやすいと言われています。ミノキシジルを配合した外用薬は国内メーカーから販売されていますが、内服薬は承認されておらず、海外輸入品のみです。
この他にも、塩化カルプロニウムやアデノシンなどの成分を配合した国内メーカーの知名度の高い商品があります。
塩化カルプロニウムには、血管拡張作用があって毛髪に栄養を行き渡らせたり、頭皮の皮脂バランスを整えて頭皮を清潔に保ったりする作用があります。
アデノシンは発毛促進因子を増やす作用があると言われている注目の成分です。アデノシンは国内の大手化粧品メーカーがアデノシン入りの育毛剤を販売したことで認知が広まりました。
育毛剤と発毛剤は使う成分が異なります。そのため、配合成分によって効果はもちろん、副作用のリスクも異なるので購入前に確認するようにしましょう。
副作用や安全性
ヘアケアアイテムは効果が高い分、体への作用も強くなる傾向があります。一般的に、育毛剤より発毛剤の方が、副作用が起こる可能性が高いと言われています。
例えば、発毛剤に配合されている血行促進を促すミノキシジルは、国内メーカーの商品にも使われていますが副作用のリスクがあります。
ミノキシジルを配合した薬は、もともと循環器系の疾患の治療薬として使われていました。治療の過程で発毛効果が発見されて発毛剤に用いられるようになったのです。ミノキシジルは血行促進効果が優れている反面、発疹や赤み、かぶれなどの副作用が起こる場合があります。
また、血管拡張作用により胸の痛みや動悸などの循環器系の症状が現れることもあるのです。頭髪だけではなく全身の体毛の増加の副作用が起こる場合があります。
AGA治療薬に配合される薬としてもう1つ有名なのがフィナステリドです。フィナステリドはもともと前立腺肥大症の治療のために用いられていた薬で、男性ホルモンを抑えてAGAを改善する薬として知られています。
AGAは5αリダクターゼ酵素が男性ホルモンのテストステロンと結びつき、ジヒドロテストステロンに変わることが関係しています。
ジヒドロテストステロンは髪を生産する毛母細胞という部分の細胞分裂を抑制します。それにより髪が生えにくくなり成長が止まって抜けやすい毛が増えるのです。
フィナステリドには5αリダクターゼを抑制することで、ジヒドロテストステロンの生成を防ぐ役割があります。発毛効果の高いフィナステリドですが、男性ホルモン抑制に関わる成分のため、男性機能が低下するリスクがあると言われています。
発毛剤の副作用が心配なら、購入する前にAGAクリニックや薬局で医師や薬剤師に説明を聞くのがおすすめです。また、肌質が弱くて肌荒れを起こしやすい方は、香料や石油系界面活性剤などの添加物のない無添加の商品が使いやすいです。
副作用はすべての人に起こるというものではありませんが、用法・用量を守って使用するようにしましょう。
育毛剤と発毛剤の違いでわかる選び方
育毛剤と発毛剤には効果や副作用のリスクなど違いがあります。その違いがわかると、薄毛に悩んだ時にどちらを使えばいいのかがわかるようになるのです。自分の症状に合わないアイテムを使うと、無駄遣いになったり、薄毛がさらに進行したりする場合もあります。
どんなことに気をつけたらいいのか、ポイントとなる選び方をご紹介します。
薄毛の進行度合いで選ぶ
育毛剤と発毛剤は効果の出やすさに違いがあります。一般的に、薄毛が進行している場合は育毛剤より発毛効果の高い発毛剤の方が適しています。実際、AGAクリニックに通院して、治療を受ける場合は発毛剤を用いることが多いです。
育毛剤は頭皮環境の改善や栄養補給によって今ある髪を生やす役割があります。一方、発毛剤は男性ホルモン抑制や血行促進など体に作用し髪の成長を促すために使うアイテムです。
薄毛がかなり進行しているのに今ある髪を育てる目的で育毛剤を使うのはおすすめできません。そして、育毛剤、発毛剤の種類以外にも、自分の薄毛の原因にも着目して選ぶとより薄毛改善効果が高まります。
例えば、薄毛の原因が血行不良なのに、男性ホルモン抑制効果の高い発毛剤を使っていても効果が実感しにくいなどの場合です。
発毛剤だから効果が高く生えやすい、というわけではありません。自分の薄毛の原因を理解して、原因を対策できる成分を配合した商品を使わないと改善しにくくなります。
また、抜け毛の量が多くても、自分では薄毛の度合いが測れないという場合もあるかと思います。薄毛の進行状況を知りたいなら、AGAクリニックで診察を受けてみましょう。
副作用のリスクを考慮して選ぶ
育毛剤より体への作用が強い成分を使っている発毛剤は、育毛剤と比較して副作用が発生しやすいです。
血管拡張作用のあるミノキシジルを配合した発毛剤は、高血圧や心臓に障害があると使用できません。また、AGA治療でよく使われるフィナステリドを配合した発毛剤は、妊活中の男性は使用できないとされています。
特に、内服するタイプの発毛剤は直接体内に入る作用の強いものなので注意して選ぶようにしましょう。
購入しやすさで選ぶ
育毛剤と発毛剤では、発毛剤の方が価格が高いことが多いです。
医薬部外品の育毛剤は、通信販売で購入できる商品が多く、簡単に手に入ります。また、発毛剤によっては年齢制限や持病の有無による制限があって使用できない場合もあります。
育毛剤と発毛剤はどちらも1本1~2ヶ月分の容量の商品が多いです。ヘアケアアイテムは、1度使い切って終わりなのではなく、続けることで効果を感じられるようになります。そのため、毎月継続することを考え、無理のない範囲で購入できる商品を選びましょう。
まとめ
・育毛剤は薄毛の予防目的で使うのがおすすめ
・AGAクリニックでの治療では発毛剤が使われることが多い
・育毛剤と発毛剤には共通して厚生労働省認可の有効成分を配合している
・発毛剤は効果が高い分、育毛剤より副作用が起こりやすい
・育毛剤と発毛剤はどちらもインターネット通販で購入できる
・育毛剤と発毛剤は副作用のリスクもあるので自分に合ったアイテムを選ぶ
育毛剤と発毛剤の違いはわかりましたか?
育毛剤と発毛剤、それぞれの特徴を知らないと選ぶのに失敗してしまいます。例えば、薄毛が進行しているのに育毛剤を使って効果がなかったり、予防目的で発毛剤を使ったりといった場合です。育毛剤と発毛剤の違いがわからないと、このようなミスマッチが起こります。
自分の薄毛の状態を確認したうえで育毛剤と発毛剤のどちらが合っているのか、間違えずに使うことが大切です。